2.新しい、情報


!」

戦の前、景時を待っている間に休んでいると突然呼びかけられた。

振り返ると、そこには男が一人。

「・・・・ちゃん、知り合い?」

一緒にいた望美に聞かれたが、こちらに知り合いなんていない。

「やっぱりだ!」

はきょとんとした顔をしているが男はそれにおかまいなくとにかく、会えたことが嬉しくて嬉しくてたまらない様子だ。

「三年前いきなりいなくなったと思ったら、京にいたんだな」

ニコニコした男は突然わけの分からないことを言い出した。

「誰?」

「ロウだよ。・・・覚えてないのか?」

きょとんとした顔でロウと名乗った男はを見た。

「あのー・・・人違いじゃないですか?
ちゃんは三年前は私たちがどこにいたか知ってるんです・・・」

三年前といえばまだは元の世界にいたはずだ。

「間違えるわけないじゃないか。の気を。
なぁ。帰ろう、母さんも心配してる。

男は、勝手に話を進めようとしているがはわけが分からない顔をしている。

「すまないが、とにかく今は友人の手伝いをしなくてはいけないんだ。
話はその後聞くから・・・」

は戦に行くのだ。その後なんて無いかもしれない。
けど、今はそういうしかなかった。

「分かった。じゃあ、俺も手伝うよ」

「待て、お前は何者だ!」

少し前を歩いていた九郎がやっと騒ぎに気がつき、駆けつける。

ちゃんの知り合いって言ってるけど・・・」

「俺はの兄弟みたいなもんだ。一緒に育ってたんだから」

「そんなこと無いよ。だってちゃんは6歳のころからずっと一人っ子で・・・」

男が何者なのかは分からない。
もしかすると平家の刺客かもしれない。

「ロウ、お前が私を知っているという証拠はあるか?」

「?たとえば・・・背中の怪我とか?」

「そんなものあるの?」

「・・・・ある」

今の両親に引き取られる前からその怪我の跡はあった。
今は薄くなっているが、無くなったわけではない。

このままでは、自分がの知り合いだと分かってもらえないと感じたのか、男は少し焦り始めた。

「俺、思い出してくれなくてもいい。また分かれるのはつらいんだ」

分かれるのがつらい。
その気持ちは分かる。

やっと、両親ができたと思ったのに。
両親は簡単に自分を捨てた。
自分の子ができたとたんを祖母に預けてしまった。

『夕日が怖くないように、カウンセラーの先生言われたの。
けど、私たちは仕事もあるからお母さんに見てもらうの』

母さんの言い分。
は、どんな母でもやっとできた家族と分かれたくなかったのに。

「九郎。こいつが平家の者だとしても、ずっと見張っていればいい。
同行を見とめてくれないか?」

「しかし・・・」

「俺、のためにちゃんと動く」

その目は嘘をついているようには見えない。
それにこんなところでまごついている時間は無い。

「それに、いい情報もある。この情報が本当なら、俺を信用してくれ」

「情報?」

戦において、事前の情報は大きく勝敗を分けることになる要因だ。
弁慶は一応聞いてみることに賛成のようだ。

「兄さんが来たみたい」

景時は今日のほうの兵を固めてきたらしい。
すぐに、合流したが、この知らない男について話すところから始まった。

「俺は、山をずっと通ってきたけど、今この舞台が向かっているところには人がいなかった」

「人がいない!?」

陣をはっているという情報で向かっているのに、人がいないとはどういう意味だろうか。

「もしかして、偽の陣だっていいたいの?」

いきなり今まで黙っていた景時が口を開いた。

「たぶんそうだと思う。これが本当なら、俺をたちの仲間にして欲しい」

その剣な目に、景時が口を挟む。

「もしその情報が本当なら、大変だ。もしこのまま突っ込んでいったら・・・
一応、調べたほうがいいんじゃないかな?」

時間は確かにない。
夜明けにはこちらの動きは知れるだろう。
そうなると、むこうの方が有利になってしまう。

「分かった。これだけの兵を連れて行くわけにもいかないから俺は残るが調べてきてくれ
それから、、ロウお前たちも残れ」

どうやら、完全に信じられるまでロウを白龍の神子の近くに置かないつもりらしい。

「分かった」


  



やってもた・・・またオリキャラだよ・・・
でも、ロウくんは重要な人物になる!・・・予定・


2006.03.31