1、戦へ





ふと気がつくと、怨霊の力を吸った後、少し調子が悪いことに気がついた。
しかし、その後こんどはすごく調子がよくなる。

それにたくさんの怨霊と出会っていくうちに、
はどんな風に自分が力を吸っているのか分かるようになってきた。

しかし、たくさん吸ってしまうと調子が悪くなるので、
自分が大丈夫なだけ吸うようにするようにいつの間にか習慣づいてきた頃。

「平家が山の口に陣を張っているらしい」

という話が出てきた。

望美たちは、この戦についていく気だろう。

私はどうするのか。別に帰りたいわけではない。

それでも、望美と同行するのだろう。
別に私は帰れなくてもいいと伝えられないままに。

それでもいいかもしれない。
怨霊というものをこの世界に放つ平家が、許せない。

怨霊は私をなぜか襲ってこない。
それで、私はどんどん近づいていったことがある。

どこまで行ったら襲ってくるのか。

そんなことをしたとしったらみんなには怒られるだろう。

けど、そばに行くほどに朔のそばにいたせいでその怨霊の嘆きが肌に感じられてくる。

「悲しい」
「つらい」
「苦しい」

こんな嘆きを感じていると、怨霊がそう感じているのか自分がそう思っているのか分からなくなる。

それで、その場に立ち尽くしていると怨霊の方がいなくなる。


「怨霊をもう増やして欲しくない」

そんな気持ちで、この戦に勝てるだろうか。
勝つことが、目標なのだろうか。

そんなことも分からないまま、戦に行くのは怖い気がしたが、時間は待ってはくれないだろう。

「どっちにしろ、関わったんだ」

そう、一人きりはつぶやいた。