10、鈴
「望美さん、どこに行ってしまったんでしょう?」
弁慶は最近たまにこうに聞いてくる。
この間、絡まれてから一人での外出に対する八葉(というか弁慶)の目が厳しくなった。
望美にも、にも。(特に)
それでなぜに聞いてくるかと言うと。
「あっち・・・だから譲の練習についていってるんじゃないのか?」
なぜか最近望美の居場所が分かるようになってきたのだ。
なにか、気の流れのようなものを感じることができるようにいつの間にかなってしまった。
怨霊がどこにいるかもだんだんわかるようになって来ている。
前に、望美を探していた弁慶に「こっち」と案内してからこうして使われるようになってしまった。
「そう・・・ですか」
「うん」
暇そうにそう返した後、もちろん弁慶が望美のところへ行くと思っていたが、弁慶が動かないので、
は不可解に思い始めた。
「行かないのか?」
「譲殿と一緒なら大丈夫なんじゃないですか。
それより、僕がいなくなった後のさんのほうが心配です」
実は、弁慶かヒノエがいないときはさっさと出て行ってしまうので、最近見張りがつくのだ。
「あの日は、景時が服を洗濯してて、着物が違うかったからだ」
と何回言っても監視の目は緩まない。
九郎くらいなら単純だからまくのだが、ヒノエと弁慶はなぜかうまくいかない。
むしろ、九郎をまいたとたんに出会うことさえある。
「あー・・・ストレスたまる・・・」
今まで出かけることができたのにできないのは本当にストレスになる。
かといって、誰かについてきてもらうのもめんどくさい。
「そうだ、これ」
突然思い出したかのように弁慶に渡されたもの。
ちりん。といい音がする、
「鈴?」
「そうです」
それは小さな鈴で。
結構こちらの世界では珍しいので少し、触ってみる。
「これでもつっててください」
そう言って、帯にくくりつけられる。
ちりん。ちりん。
歩くと、小さな音がする。
「かわいいな、鈴」
「かわいい音がすると思ったらか」
そう言って、よって来たのはヒノエ。
ちりん。と音をさせてふりむく。
「弁慶がくれたんだ」
「へぇ・・・俺以外の男からもらったものなんてつけないで欲しいな」
「・・・・・」
は、こういうときのヒノエがすごく苦手だ。
「じゃ」
だから、部屋に引っ込むことにした。
ちょうど、向こうから望美と譲の声もした。
を見送った後。
「あんた、あれはないんじゃないか?」
「なんのことです?」
「分かってるくせに、分からないふりするなよ」
ヒノエがいっているのはあの鈴のこと。
戦になればはずすことになるだろうが、ここではちりん。ちりん。との居場所を教えてくれる。
子供にするような、目印だ。
「、気がつかないのか?」
「そこが、かわいいんですよ」
「・・・あんたな・・・」
うれしげに離す弁慶にヒノエもいやな顔をする。
「おや、どうしたんです?」
にこにこと笑ってはいるが、ヒノエにはすごく黒いオーラが出ている気がした。
これないと、いつくれたのかわからないし・・・
2006.03.31