9、平家の夢の





今日は望美たちと一緒に六波羅へ来た。

「なんだか・・・」

そこには昔あっただろう栄華はなくなっていた。

火事があったことを弁慶が教えてくれる。

「あれ?ちゃんは?」

「全く、またいなくなったのか?」

ふと気がつくとがいない。

しかし、がいなくなることなんて当たり前だったので、だれも気にするものはいなかった。

いつもとは少しが違うことに気がつかずに。




その頃、いつもとは違う、女物の着物を着たは焦げてしまった木の前に立っていた。

「?」

なぜか、この木を知っている気がするが、ここに来たのは初めてだ。

「こんなところでなにしてんだ?こんなきれいな着物着て」

そんな言葉で現実に戻されて振り向くとそこには男が二人たっている。

「きれいな着物?」

「そうだ、そんな着物着れるってことは・・・いい床のお姫様か。
はぐれちまったのか?」

「いや、散歩に来ただけだ」

といっても、男たちは勝手にをどこかのお姫様だと思い込んでしまったらしい。

「どうだ、家まで送ってやろうか?」

明らかに、家まで送ってくれそうにもない声で一人が言う。

「俺たちに任せれば間違いないぜ」

「自分で帰れる」

そう言っても、男はの腕を引く。

「まぁそう言うなよ」

「離せ!」

着慣れない着物は動きが鈍る。

「オイ!俺の連れになんかようか?」

そこに現れたのは赤。

赤い髪の少年だった。

「お、オイ・・・あいつは・・・」

ふたりはなんだかこそこそ言い合った後、すんなり帰っていった。

自分はその男を知らないのだから、これは助けてくれたのだろう。

「すまない。助かった」

それだけ言うと、また木に向かって見る。

「そんなにその木が気になるのかい?」

「なぜか・・・分からないけど」

ちゃん!!」

まだ、その少年はなにか言おうとしたが、望美の声でかき消された。

「一人で行っちゃ駄目じゃない!」

「子供に言うことだろう、それ・・・」

しかし、それは少年によって男に絡まれたことがばらされて、
そうもいえなくなった。

「今度は助けてくれないのか・・・」

「ヒノエくん、ちゃん助けてくれてありがとう!」

望美は、の分までお礼を言い始める。

「いや、かわいい姫君を助けてお近づきになれるんだ。
こっちも得してるよ」

そう言って、望美に近づこうとするが、白龍の言葉によって阻まれた。

、すごいね!どうやって天の朱雀がいるのが分かったの?」

「・・・・天の朱雀?」

ふと見るとそういえばでこに赤い玉が見える。

「お前、八葉か」

望美は、彼が八葉だと知ると、自分と一緒に行動してくれるように頼み始めた。

「かわいい姫君に頼まれちゃ、断れないね」

そんな風に言ってはいるが、の方もちらりと見ている。

「それに、こっちのお姫様にも興味あるし・・・」

そう言って、近づこうとしたが、弁慶に阻まれる。

「ヒノエ」

「あんたもいたのか・・・」

今まで見えていなかったかのようにヒノエは反応する。

ちゃんかわいいからってあげないよー」

望美が楽しげにそういうが、ヒノエもひかない。

「そうかい?じゃぁ、こっそりいただくことにするよ。
なんせ、怨霊と出会っても襲われない姫君なんてそうそういないしね・・・」

「?」

その言葉にその場にいたもの全員、いやとヒノエ以外が固まる。

「それはどういう意味だ?」

一番に口を開いたのは九郎だ。

「この間、たまたま姫君を見かけてね。怨霊とであったのに怨霊はチラリと見ただけだったんだ。
その後、同じように通りかかった人は襲われてたんだけどね」

「本当なのか?

は、何がおかしいのか分からないという顔で、

「あぁ。今まで一人でいたときに怨霊に会って襲われたことはない」

「当たり前だよ。は怨霊に襲われる理由がないもの」

に続いて白龍の言葉も周りのものを驚かせる。

「襲われる理由?」

「だって、は怨霊を憎んでも怖がっても無いから。
それに、私の神子のように怨霊を倒すような力はないから襲ってこないんだよ」

なんだか分からないが、怨霊がを襲わないと言うことは周りに伝わったらしい。

ちゃんて・・・本当に不思議だね・・・」

こんな言葉で締めくくっていいのかは分からないが、他にどういっていいのかも分からなかった。


  

本当は、一週目にしようと思ってたんですが、ぜんぜん違った方向に
持って行きたくなってしまってヒノエ緊急出演。

もしかしたら、この前の話もかえることになるかもね。

なんて、適当な人でごめんなさい。

さらに加筆。少し変えました。


2006.03.27