7、子守歌



その後、リズヴァーンというひとは、結局一緒に行動することになった。

実は、何があったか部屋に押し込められていた私は知らないのだが、
ともかく、みんなその人を尊敬していて先生と呼んでいた。



「今日は、一緒に行きますか?」

朝、起きると弁慶がそう言ってきた。
今日は、望美が九朗に花断ちを披露するらしい。

「いいのか?」

ずっと部屋の中でいた私には願っても無い話だ。

「そろそろ部屋の外に出ても大丈夫でしょう。
神泉園ならそんなに遠くもないですし」

そういうと、弁慶はくすくすと笑い始めた。

「なんだよ・・・」

「すごく、うれしそうな顔をしてますよ」

「・・・・・・用意するから出て行け・・・・」

弁慶の話はろくなことがない気がする・・・・

「お手伝いしましょうか?」

「結構だ!!!!」

弁慶はまだくすくすと笑いながら去っていった。




久々の神泉園はきれいだった。

「見せてみろ」

そういった望美はきれいにサクラの花びらを二つに切った。

「・・・・・お前も習得してしまったか。しかたない。同行を認めよう」

「やった!」

「よかったね、神子」

この後、私たちは戦に出て行くのだろうか。

そんな不安、望美にはあるんだろうか。

怖くないんだろうか。

戦えない私はどうしたらいいんだろう。

そんなことを考えていたら、リズさんと目があった。

「心配しなくていい。お前は、大丈夫だ。
思ったとおりに進めばいい」

心を読んだようにそういわれて、少し驚いたがでも、悪い気はしなかった。







「赤いちょうちょが、ひらら、ワラと遊ぶ〜、青いちょうちょが、ひらら、ワラと遊ぶ〜」

帰り道、には珍しくみんなから離れたところでそんな歌をうたっていた。

ちゃん、それ何の歌?」

誰も聞いてなんていないと思っていたのに、望美が意外に近くにいた。

「知らない。子供時に歌ってもらった気がするけど」

それは本当。

でも、両親は歌なんて歌ってくれたことあったっけ?

「ふ〜ん・・・・初めて聞く歌だったから・・・」

そう言って、望みも黙ってしまう。

しばらくたって、またその歌を口ずさんでいると、九郎が視界に入った。

。懐かしいな」

いきなりの言い方に少し驚いた。

「?思い出したら忘れられなくなった」

「子守歌をか?へんな奴だ」

そう言って、九郎は去ろうとしたが、望美が止めた。

「九郎さんもしってるんですね。同じ歌が両方の世界にあるんだ」

無邪気に笑う望美。

「しかし、この歌はそんなに知られている歌ではないぞ。
それに少し間違えている。俺が歌ってもらった歌なら青いちょうじゃなくて
黄色いちょうだったぞ」

「私が聞いたのはこうだったんだ」

こんなこと、まだ予兆に過ぎないということは後から知ることになる。