5、サクラサクラ




あの日から、やたらみんなにからかわれている気がする。
だから、余計に一人になろうとするのにみんな一人にしてくれない。

昨日もそう。

昨日、リズヴァーンとかいう八葉の一人に望美が会ったらしいが、すぐいなくなってしまったらしい。
その人はたまたま九郎の先生だったらしく、昨日はその人に会いに行った。

みんなが行く準備をしているとき縁側で座っていると、なぜかにっこり笑顔で

もいこう!!」

と白龍に手をつかまれ、うむを言わさず同行することになってしまった。

結局、今日は山に張られた結界に阻まれてリズヴァーンさんには会えなかった。
どうやら、朔のお兄さんの景時とかいう人の助力がいるらしいが、
景時さんは忙しいらしくどこにいるかわからないからまた今度ということになった。

そういえば、この家に帰ってきているのだろうか?
私が会うのは使用人らしい男の人だけだ。
その人はいつも私が縁側にいるときに、庭で洗濯物を干している。
最初は、朔の知りあいだと知たなかったので驚いたが、
たまに会うのでだんだん慣れてきた。

長い間縁側に座っていることの多い私に会わないでいるということは、
帰ってきていないんじゃないだろうか・・・


今日はどうやら、長岡天満宮と言うところに景時さんはいるということが分かり、
とにかくそこまで行ってみることになった。

「陰陽師って何するんだろう?封印?」

「ううん。怨霊を封印できるのは白龍の神子だけだよ。
私の、神子だけ」

「ふ〜ん・・・」

「ここが長岡天満宮よ」

やっとついた長岡天満宮。
ほとんど私は話さないまま来たが、誰にも何も言われないので少し安心した。

「兄上は・・・いないみたいね」

そこには景時さんの姿はなかった。
そこに散る桜の花びらがひらひらとはかなく落ちているだけだった。

「だけど、何かいるよ」

おびえる白龍の姿に、ここに怨霊がいることを思い起こさせる。
もともと、景時さんがここにこないといけない理由は怨霊退治なのだから。

「大丈夫ですか?先輩。顔色がよくないようですけど
今日はもうかえりましょうか」

本当に、譲は望美のことに関してはよく気がつくと思う。

「帰ろうか・・・」

そう望美が言った後。

「帰サヌヨ・・・神子・・・・」

そんな声が聞こえた気がした。


「キャっ!!」

突然、望美が何かに攻撃を受け始めた。

すぐに譲が庇うが、どこから攻撃を受けているのか分からないので、攻撃を防ぎようが無い。

「望美!」

目の前で、友達が攻撃されているのをじっと見ていることができない・・・

「花びら・・・桜が無いのに・・・花びら・・・」

そういえば、桜の気が無いことに気がついた。

「望美、花びらだ!花断ちだ!」

「そうか!」

そういうと同時に、私たちの目は怨霊を捉えていた。



「う・・・・」


みんなが戦っている間、私の体には変化が起こっていた。

望美たちを手助けしないと・・・

「でも、苦しい・・・」

みんなと対峙している怨霊と目があう。

そのすぐ後、術が桜の怨霊を襲う。

「お前はこちら側のモノだろう!なぜ、そちらに着くんだ!!」

そんな声が最後に聞こえた気がしたが、息苦しさのせいで何を言われているのか分からなくなってしまう。

ちゃん!!」

「だ、大丈夫・・・。たぶん・・・」

「すぐに京邸に戻りましょう」