「今日は・・・息抜き!!」

そう言って朝の弱い私の手を取った春日さんは、今日どこに出かけるか相談してきた。

「かすが・・・」

いくら直されても、私はつい春日さんて言ってしまう。
特に寝起きを襲われると絶対春日さんて言ってしまって頬を膨らまされる。

「ごめん・・・望美・・・ちゃん・・・」

「望美でいいのに!」

さらに頬は膨れていく一方だ。

「あ、あの・・・着替えをする!!」

そう言って、無理に春日さんを追い出すと、さっさとできる着替えを少し時間を掛けて着替えた。


4、



朝ごはんの時にはもうどこに行くか決めてしまったようだ。

「あのね、下鴨神社の方へ言ってみようと思うの」

そう言って笑っている。

とにかく、神社参り?私、向こうじゃ仏教徒だった気がする。

「うん・・・」

で、それに私も付き合えと言ってるのだね・・・

「神子、桜があるといいね!!」

白龍の純粋さがうらやましい・・・

「そうね!譲君、お弁当作ってもらえる?」

「はい、そういうと思って少しもう準備はしてあるんです」

さすが、幼馴染。思っていることがわかるんだろうか。

「ありがとう!!」



「私もおぼえたほうがいいのかな・・・朔教えてくれる?
私たちに!」

なんか、今複数形だった気がする・・・

「えぇ、いいわよ」

朔、私も?

結局、戦いに役立つからと舞を教えられることになりそうだ・・・

「わ、私は・・・」

と、断ろうとしたが、二人はもう練習を始めていた。

「ほら、こうするのよ」




ちゃん、上手!」

絶対そうでもない。

は舞を習っていたの?」

朔さんまでお世辞はやめてほしい。

「う、ううん・・・」

祖母の義務の中にはそんなものなかった。ので、私が下手なのはわかっているのに・・・

「でも、なんだか基本ができていたわ」

「私には向いてないのかな・・・」

うなだれる春日さんに、朔はすぐフォローを入れる。

「あら、そんなことないわ。ができるからわからないだけで、
初めてにしては上手よ」

「まぁ、戦うためだから・・・」

と、春日さんは納得したらしい。

私はいつもみんなが戦うのを見ているだけだったし、有川や春日さんのように武器があるわけではないので
戦うためとはいいづらいが、役にたたないものでもほめてもらったのは正直うれしかった。

「そ、そろそろ帰ろう!もうすぐ日が暮れる!」

また今日も空はっ赤に燃え上がっている。

「うん、今日覚えたことで怨霊退治しながら帰ろう!」

「私見てるだけだけど・・・」

思わず声にでてしまった。

最初それを言ったとき二人の神子は目を丸くした。

「あら、そんなことないわ。

「そうだよ、ちゃん!白龍が言ってたじゃない!
怨霊の力奪えるってすごいよ!」

「あ、ありがとう・・・」

こんな反応が返ってくるとは思ってなかったので驚いたが、
そんな風にほめられることが今までなかったので少し戸惑ってしまう。


、真っ赤だよ!」

「は、白龍・・・」

白龍、そういう突っ込みはやめてくれ・・・

譲、いまさら白龍の口押さえても遅い!

「う、うるさい!!」

「おやおや、遅いから迎えに来て得しましたね。
いいモノが見られました!」

「べ、弁慶!!!」

迎えに来た弁慶にまで真っ赤な顔を見られて、さらにっ赤になる。

「これは夕日のせいだ!帰るぞ!日が暮れる!」

苦手な夕日に罪をきせさっさと帰り始める。



取り残された面々はの反応に顔を緩ませている。

「おやおや・・・」

「ふふ・・・ちゃん、みんな避けてるみたいだったから心配だったけど、
取り越し苦労かな?」

望美が今日こうやって休みを取ったのも、がいつも縁側で座っているか、
一人で散歩に行ってしまうかで心配だったからだ。

「避けてるんではないみたいですね・・・」

そう。めんどくさいから縁側に座っている。
でも、運動しないと体がなまるから散歩に行く・・・という行動に出ているのだ。

「さて、置いていかれますよ」

弁慶は、の後を追ってさっさと歩き始める。

「僕は迎えに来たんですけどね」

そういって追いかける姿は別に不愉快に思っている風でもない。

「神子、帰ろう!」

「うん」

そう言って、神子たちもを追いかけ始めた。