手をつないで。(銀2)
ふと、小さい頃のことを思い出した。
私が歩き回って迷子になると必ず兄上が迎えに来てくれた。
いつもは手をつなぐなんて恥ずかしいのに、そのときだけは寂しくて、いつも手をつないでもらって母上の所へ連れて行ってもらった。
どこで迷子になっても必ず見つけてくれて、母上に合わせてくれた。
今思うと、私が小さくて、動き回る範囲がちいさかったのだろうけど、「きっと探し出してくれる」という安心感があった。
「真さま」
ほら、今回も。
「銀」
振り向くとそこには銀がいて。
あの時と同じように探し出してくれた。
私が迷子になったら絶対迎えに来てくれる。
「帰りましょう、神子さまたちが心配しております」
「銀は?」
「心配いたしました」
その背中を追いかける私。
「銀」
「はい」
「手、つなごうか」
「・・・お嫌でなければ」
銀は、驚いた顔を見せたが快く手をつないでくれた。
こんな大きな二人が手をつなぐなんて変な光景だろう。
けど、私が迷子になれば兄上は迎えに来てくれて手をつないで帰る。
心細さを吹き飛ばすおまじない。
思い出してくれなくても。
私が覚えているから続く。
「ただいまー」
なんとなーくこんな感じで考えてます。
2006.07.22