手をつないで(九郎Ver.)
望美と買い物に行くと、必ず荷物もちになっている。
それがイヤで今日は九郎を連れてきた。
望美と九郎と私。
九郎はみんなが知っていて、もちろん白龍の神子の望美を知っている人もいる。
だから、顔を知られていない私以外は話しかけられる。
だんだんと荷物が増えてきて、そろそろ帰ろうかという話になる。
どれも必要なものだけど、一回に買わなかったらいいのに。
九郎が半分、私がその半分、望美が残りを持って歩く。
「九郎、重いだろう。もう少し持つよ」
そう言って、荷物を少しもらう。
「大丈夫だ、お前が持つことはない」
そう言ってくれるけど、こうしたら
「手つないで帰ろうか」
「なっ!!!」
こんな意地悪ができる。
いつも私に意地悪するお返しだ。
さっと手をとるとさっさと歩き始める。
望美は、真っ赤になった九郎さんにくすくす笑っている。
「さ、帰ろう」
今日だけは、この手は私がもらう。
意地悪だけど。
うん、甘いね。
2006.07.22