「さん、もう私たちのところに行きましょう!!」
こうして、猫はもらわれることになりました。
「本当に行くぞ」
本当にあの猫扱いはいやだったのに。
なんだか寂しかったりする。
「はい、どうぞ」
そんな笑顔で言われると、悲しくなる。
「・・・・・・」
「ほら、猫は鳴きませんよ」
そう言って外套で顔をぬぐってくれる。
泣いてなんかないのに・・・
「泣いてない・・・。猫じゃない・・・」
「はいはい」
そう言ってそっといつもみたいに抱っこしてくれる。
「さん、大丈夫?」
そっと春日さんが後ろから話しかけてくれる。
「・・・・大丈夫・・・」
「そういう時はいつも大丈夫じゃないんですよね」
そういって、猫みたいに頭をなでられる。
そんな珍しくやさしくされると、本音が出る。
「もらわれていきたくない・・・」
そういうと、弁慶は今までにないような笑顔を見せた。
「だ、そうです。望美さん、あきらめてもらえますか?」
「けど・・・」
ぐずぐずと泣く私の顔を見て春日さんはよく分からないという顔をしていた。
「弁慶、迎えに来てくれるから・・・」
この言葉の意味が伝わったかどうか分からないが、
とにかく、私はまだ弁慶の猫でいいみたいだ。
?なにしたかったのかよく分からないね。
本人も分かってないかも。