すっきりしたい!!!



ちゃん、ずるい・・・」

の濡れた髪をみた望美はいきなりそう言い出した。

「何が?」

「お風呂入ったんでしょう!!」

外は、雨が降っていない。
けど、髪が濡れている。
つまり、はどこかでお風呂に入ったと理解したらしい。

「風呂?には入っていない」

これは、嘘じゃない。

「川に入ったんだ」

そう、はなかなか風呂に入れないので、人気のない山の中まで行って川で泳いで帰って来ているのだ。

「どっちにしてもずるいよ!!
そうだ、今度私も一緒に・・・」

「無理」

言葉も言い終わらないうちには即答する。

「なんで?」

「だって、望美は白龍の神子だろ。
ということは、私と二人でお出かけなんかさせてくれない。
この間だってほら」

そう、つい最近市に二人で行こうとして九郎がついてきたのだ。
はいつも一人でこっそり抜け出すがみんなはそれをよく思っていない。
望美は、のようにこっそち抜け出すことができないので誰かに一緒についていってもらっている。

「だったら誰かついてきてもら・・・」

「無理」
またもや即答。

「なんで!?」

「だって、川に入るんだぞ。
望美、そんなに見てもらいたいのか?」

「・・・・・」

もう望美には反論する気もないらしい。

「それに、それ、どうするつもりだ?」

それとは、白龍のことだ。
いつもひっついている白龍を巻くのは難しい。
しかも、白龍は望美の気を追って追いかけることができる。

「望美、諦め・・・」

「また、出て行ってたんですね」

そこに現れた男によって、この後は非常に苦しい思いをすることになる。

「あれほど、一人で出歩くのは駄目だといっているのに・・・」

顔は笑顔だが、本気で怖い。

「い、いや・・・」

「しかも、その髪・・・川に入りましたね。
つまり、丸腰になったんですね」

弁慶の笑顔は深くなっていく。

「あ、あの・・・」

逆に、の顔は少しづつ青ざめていく。

これから続くであろうお説教の予感に。




「体拭いたり髪を洗ったりは家でもできるもんね。
ちゃんみたいに叱られないから、そっちの方がましかも」


望美は、こっそりそう思いながら苦しむの顔を見ていた。