地獄の業火
「弁慶、本当にこうするしかないのかな?」
「できるだけ戦を早く終わらせるためには」
弁慶との目には炎が燃えている。
地獄の業火は、罪のない人も燃やしてしまわないのだろうか。
そんな人は、地獄にはいないかもしないが。
だが、あの船にはそんな人は乗っていないのだろうか。
「だから、君には見せたくなかったんです」
そっと、頬に触れる指はこの目の前の光景を作った策士だとは思えないほど優しい。
困ったような顔は、先ほどまでの策士の顔ではなくのよく知る優しい弁慶だ。
その優しい指先は濡れていた。
「泣かないでください。君に、泣いて欲しくないんです」
そうか、この悲しみは涙になっていたのか。
そう気がつくと、よけいに多くのしずくが弁慶の指をぬらす。
「見ないでください。何も」
そう言って、黒い袈裟に包まれても、その業火の熱は涙を誘った。
この熱は、この優しい策士が望んだものなのだろうか、
それとも平家自信が生んでしまったものなのだろうか。
なんか私がシリアスーに書いちゃうとへんでっかね?
あは☆
2006.07.13