「むり・・・」
細い蔓をぶんぶんと振り回す敵に出会ったは小さくつぶやいた。
「キモイ!むり!」
そう言って、すぐに逃げ出すのは悪い癖だったりする。
しかし、毎回簡単に逃がしてくれるはずもなく。
「げっ!」
蔓に足をつかまれて動けなくなってしまう。
「あ、ありえない!きもい!」
だったら戦えばいいのに、そんなことは微塵も思いついていない様子である。
「離してよ!」
モンスター相手に離せといったって無理だということに気がついていないようである。
「わっ!」
おしまいに、つかまれた足を持ち上げられ宙釣りになってしまった。
「ちょっ!ありえない!」
殺気までは敵の攻撃は一応避けられていたが、さすがにこうなってしまうと避けようがない。
モンスターの蔓が向かってすごいスピードで襲ってきた。
しかし、何かに切られる音があっただけで衝撃は来なかった。
体をそらしてみると、
「さ、サイファー・・・!!」
一番こんな姿見られたくなかったが、とにかく背に腹は変えられない。
「何してんだ、お前は・・・」
あきれた顔でもどうやら助けてはくれるらしい。
の足に絡まりついていた蔓もガンブレードで斬ってくれ、少々手荒ではあるが助かった。
しかも、そのモンスターを倒してくれた。
「あ、ありがとう」
しりもちをついた状態でそういうと、にやりとサイファーは笑った。
「さて、助けたからには何かしてもらわないとな・・・」
「えっ!!無償にしてよ!」
か弱い乙女を助けて何か代償を求めるやつがいる!?(自分がか弱い乙女かどうかはおいといて)
「なんでただでお前を助けてやるんだ」
そう言ってのけられて固まる。
「まぁ、また今夜部屋から抜け出したときにゆっくりともらうか」
にやりと笑った顔を見ての後ろをサムーイ風が吹き抜ける。屋内だと言うのに。
「冗談じゃないからね!」
「あぁ、冗談じゃねーよ。ほら、行くぞ。出ないとまたモンスターが出てくるぞ」
そう言って座りこんでいたを立たせるとさっさと出口に向かいはじめた。
「わ、私は承知してないからね!」
そう言っても、またあのキモいモンスターに会うのが怖くてその後ろをついていくの足音に、サイファーはまた笑った。